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2009.06.24

パリ発、緑の呼吸。
三宅一生の新しい香り。

icon_paris.jpg 大村真理子の今週のPARIS

1992年に発表された、三宅一生の最初の香水「ロードゥ イッセイ」。 上に向かい、まるで天をつくようにすらりとのびた三角錐のボトルが美しい。"一生の水"と命名されているのは、命の源である水のようにピュアな香りを彼が求めたからである。その名の響きはホメロスの有名な叙事詩オデッセイを思わせ、海、旅といったイメージをかきたてる素晴らしいネーミングとフランスでも評判だった。

090619o_1.jpg 三宅一生の服作りのコンセプト「一枚の布」が具体化されたA-POCの服を香水発表会の会場に展示。

090619o_2.jpg 縫い目なく、布をスナップで留めただけの1991年に発表のコレクション「コロンブ」。

一枚の布が服作りのコンセプトにある彼は、何事にも本質を追求する。このコンセプトの下、ボトル・デザイン担当のアリック・レヴィ、調香師ダフネ・ブゲ、パッケージングデザイナー佐藤卓の3名と三宅一生のコラボレーションから、この夏に生まれたのが、「ア セント バイ イッセイ ミヤケ」だ。

この新作のボトルはガラスの塊から切り取られたようで、飾り気がなく力強い。オードトワレ50ml、100ml、150mlの量の違いが、背の高さではなく幅の違いというのも、ボトルデザインとしては画期的だ。気鋭のデザイナー、アレック・レヴィならではと唸らせる。その中にこめられているのは、小川が流れる森を散歩しているような気にさせる緑と花の新鮮な香しさ。生の息吹を感じさせる。「自然は最も偉大な調香師」という一生の言葉をうけ、ジャスミン、ヒヤシンスの花の香りと、ガルバナムというセリ科の植物のビター・グリーンな香りでダフネ・ブゲが創香したものである。ガルバナムは40~50年前によく香水に使われていたが今や...という忘れられた素材。これを最新技術で抽出することに、ダフネは「伝統と未来を同時に見るイッセイの哲学」に重ね合わせた。

090622o_1.jpg 自然を愛する人、調香師のダフネ・ブゲ。

090622o_2.jpg キャットウォークにズラリと並んだ新作のボトル。よく見ると、幅の違いがわかる

フレッシュ系好みも、濃厚系好みも魅かれる、奥行きのある香り。自然に親しく、自然を愛する人ならではの仕事と、鼻をくすぐられる。新作発表会に姿を現した若く美しき調香師ダフネ・ブゲに、自然についての思い出を語ってもらった。

*グルノーブル生まれということは、自然との接触が身近に?

いえ、あいにくと町育ちなんです。だから、幼少期を自然の中で過ごしていないことをとても不満に感じているんです。

*これまでで自然が印象的だった旅は?

22歳のときだから、ずいぶん前の話だわ。リュックを背負って、インドネシアに旅に出たときのこと。ジョクジャカルタの近くのジャイングという土地で、自分でも信じられないことが起きたんです。緑の中に湖があり、その光景に完全に心を奪われてしまって、とにかく自分一人になりたい!小山の裏側にある景色をどうしても見なければ!と、心の奥底から思って...。それで友達と別れて、危険など顧みず、一人で朝4時の日の出を見に行ったんです。そこは高度2000メートルの場所。私、アイルランドやボリビアとかでもそうでしたけど、ピュアな高地の空気の中に含まれる何かに、すごく感じるものがあるみたいで...。

*最近の自然との新しい体験は?

実は、 ア セント バイ イッセイを創った後で日本に行き、この発表会のために戻ってきたところなんです。屋久島で見た自然は美しく、そして、とても力強いものでした。ゆがんで、ねじくれた樹の幹が、水平に伸びているのね。そして、それが厭になると、今度は上に垂直に伸びていくというように・・・、自然が爆発していたわ。それに何もかもがコケに覆われていて・・・。この地の光景にインスパイアーされて、宮崎駿が「もののけ姫」を作ったそうですね。私も5000年杉を抱きしめて、エネルギーをもらってきたのよ。今こうしてパリにいてコンクリートを見ているより、まだまだ鳥の声を聞いていたい、というのが本音です。

*屋久島で何か香りの発見は?

できたてのホテルに泊まったんです。杉の樹が建築に使われていて、畳が新しくって・・・。それに引き戸をあけると、目の前にオレンジの畑があって。特に夜、部屋にいるだけで、それらの香りが堪能できました。この場所に限らず、素晴らしいのは自然に驚かされることですね。目に花や樹が見えなくても、鼻がみつけるの。何?と驚かされるんです。そう、自然が驚きを持ってやってくるの。これって、魔法のようでしょう。

*良い香りだけでなく、悪い香りを嗅ぐこともあるでしょう?

鼻が利くので、それは確かに。でも、私はすべてに対してオープンだから、なんでも興味深いわ!


●ア セント バイ イッセイ ミヤケ  8月10日よりパリのデパート、ギャラリー・ラファイエットにて先行発売。(日本では9月9日発売予定)
オードトワレ スプレー¥9,450(50ml)、¥13,125(100ml)、¥16,800(150ml)


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