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半月にわたって日本各地を回った〈HOPE JAPAN TOUR〉を終えたばかりのシルヴィ・ギエム。そしてまもなく、彼女がロベール・ルパージュ、ラッセル・マリファントとコラボレーションした『エオンナガタ(Eonnagata)』がついに日本で初めて幕を開ける。
『エオンナガタ』より。photo : Erick Labbė
『エオンナガタ』という不思議なタイトルは、18世紀フランスに実在した「エオンの騎士」と日本の「女形」をかけた言葉。このことは日本が重要なインスピレーション源になっているのを物語る。2009年2月にロンドンで世界初演、ダンス・演劇・アートのジャンルを超えた天才たちの共演は、世界中で大きな話題となり、ついに日本公演が実現! 先ごろ行われた〈HOPE JAPAN TOUR〉の記者会見でも、ギエムはこの公演について語った。
〈HOPE JAPAN TOUR〉の記者会見でのシルヴィ・ギエム。
「エオンの騎士は、男性なのか女性なのか分からない、謎に包まれた人物です。フランスでも、クロスワードパズルで、ルイ15世のスパイで、半分女性・半分男性だった3文字の名前の人物は?という問題の回答として"EON"の名前が知られているけれど(笑)、どんな人物かまではあまり知られていないと思います。私自身、この作品を踊ることになって深く知るようになりましたが、とても複雑で興味深い人物だと思います」
エオンの騎士をテーマにした作品をつくることは、ロベール・ルパージュが長い間温めていた構想だったという。
「ルパージュの手法は、数日間、あるいは数週間かけてワークショップを行い、みんなで何か探しながら、その中から生まれてくるものを作品にするというプロセスです。ワークショップを通してお互い知り合うことになりますが、ルパージュもわたしも日本が好きで、歌舞伎が好きという共通点があることがわかったのです。
そしてルパージュが私とマリファントを見ていて、ふたりのなかに男性的な部分と女性的な部分が強く際立っているのを発見して、 "性" "変装" "女形"といったテーマが浮かび上がり、せっかくなので私たちが好きな、女形という様式のある日本を通して、エオンの騎士の物語を構築できたらと思ったのです」
3つのテーブルがさまざまな舞台装置として活躍。photo : Erick Labbė
シルヴィ・ギエム(上奥)、ロベール・ルパージュ(上中)、ラッセル・マリファント(上)がエオンの騎士というひとりの人物を演じる。台詞もあり、演劇的要素の強い作品。photos : Erick Labbė
この作品のプロジェクトが始動した頃、ギエムは日本を訪れたさいに安藤忠雄さんが手がけた21_21 DESIGN SIGHTや友人の陶芸家・黒田泰蔵さんのアトリエを訪ねたり、日本人の美意識に触れる旅をしている(NHK BSハイビジョンで放映された「シルヴィ・ギエム~限界への挑戦~」より)ことからも、日本的な要素をとても深いところから作品に取り入れようとしているのが伝わってくる。
「エオンの騎士を題材にしようと決めたときから、インターネットを通じていろいろ探したなかで、youtubeで日本にエオンの騎士を題材にした漫画があることも知りました。
エオンはとても魅力的な、当時としては進んでいた人物です。戦地に赴いた時期は少ないですが、外交官であり軍人、スパイでもあって、一見女性のような人でもある。そして、彼がフランスに住んでいた時代もあり、イギリスに住んでいた時代もあることから、私はフランス人、マリファントはイギリス人と、3人のなかで多くの共通点があったのです。
ルパージュはテーマを決めて作品をつくっていくとき、人物を表面的にではなく、非常に深く探求していく。パズルを組み立てるような手法で作品をつくっていき、最後にはパズルが完成して人物が深く表現されているような、そんな作品ができあがるのです」
光と影の演出にも注目。photo : Erick Labbė
『エオンナガタ』の衣裳を手がけているのは、ファッションデザイナーの故アレキサンダー・マックイーンだ。前出の「シルヴィ・ギエム~限界への挑戦~」では、ギエムたちが彼のアトリエを訪れ、マックイーン自ら採寸したり、その場で生地を大胆にカットしたりと、現場のクリエイティブで刺激的な雰囲気もとらえている。
「マックイーンは大変才能があり、詩情豊かなデザイナーです。会いに行ったときに、すぐにエオンという役を理解してくれた。そして彼が創作した衣裳は、とてもシンプルでありながら、この作品に必要なものが深いところで表現された衣裳でした。
あれほど才能に恵まれ、クリエイティブで、ポリシーを持っていて、知的で、繊細で――マックイーンのような人物はなかなかいません。彼はファッション界で苦労しながら多くの衣裳をデザインしてきましたが、彼の作品は単なるファッションではなく、すばらしい想像力によってつくられたものでした。亡くなられたことを非常に悔しく、残念に思います」
マックイーンの衣裳を纏い、ギエムとマリファント、そしてルパージュ自身も舞台に立つ。3つのテーブルと鏡が象徴的に配された舞台で、実在の人物エオンの騎士の物語が繰り広げられる――世界的な名声を得ている天才たちが挑む新境地、見逃すわけにはいかない!
鏡も印象的に登場。闘いのシーンにも登場する剣は刀を彷彿とさせるなど、日本文化からのインスピレーションがあちこちに。photo : Erick Labbė
*〈HOPE JAPAN TOUR〉についての記事はコチラ。
*〈HOPE JAPAN TOUR〉に向けてのシルヴィ・ギエム記者会見の記事はコチラ。
●11月17日(木)~20(日)
●ゆうぽうとホール
東京都品川区西五反田8-4-13
●S席¥15,000、A席¥13,000、B席¥10,000、C席¥7,000、D席¥5,000
問い合わせ先:NBSチケットセンター Tel. 03-3791-8888
http://www.nbs.or.jp

