2009.07.17
元倉庫のギャラリーで羽を広げた、
3人の女性デザイナーたちの手仕事。
「ミシンひとつあれば、何とか生きていける」と、デザイナーの和井内京子さんは言う。
8月2日まで、横浜のBankART Studio NYKでは、3人の女性デザイナーたちによる「INTERVALLO 幕間展」が開催中だ。サブタイトルに"アート/ファッション/デザインのまくあいで。"と記されているように、彼女たちが作るものは、ファッションやインテリア、プロダクトと、アートの間にあるもの。ジャンルとジャンルの間の仕事。
コロンバ・レッディさんの作品。テキスタイルにこだわった一点ものの服を展示。
ロンドン在住でバッグやインテリアプロダクツを作る和井内さんと、ベルリンでフェルトを中心に衣装やインテリア小物などを制作するクリスティーネ・ビルクレさん、そして、ミラノで服作りをするコロンバ・レッディさん。3人が出会ったのは、パリコレだったそうだ。「あんなにたくさんのデザイナーたちがいるなかで3人が集まったのは、作るものがファッションに留まりたくないという思い。そこから一歩出て、何か違う見せ方をしたいという気持ちが同じだったからでしょう」と和井内さん。お互いにお互いの作品が欲しくなって、どんな人が作っているんだろうという興味が、3人を結びつけたのだそうだ。
針も糸も使わない、クリスティーネ・ビルクレさんのドレス。リバーシブルで着ることができ、しかも1サイズ。繋ぎがフェルトだから、自然に身体にフィットする。
「おすもうさん」もフェルトで登場。他にもカラフルな「おさるさん」など。左のトロンプルイユのフェルトのスーツは、実際に着れるもの。
そこで、海岸通りにある旧日本郵船の倉庫で実現した今回の展覧会。3つに仕切られたコンクリートのギャラリーの中で、3人の女性デザイナーたちの作品は、まるで羽を広げたカラフルな鳥たちのようだった。きっと、それは、どれも色が生きていて、風を受けて動き、柔らかでしなやかなものだったからかもしれない。
和井内さんのオーガンジーにフロッキープリントのバッグ。イギリス人のファブリックデザイナー、ナイジェル・アトキンソンとのコラボレーションが多い。
"天の迎えを待つ椅子"と題された作品。和の素材をふんだんに使った。背面には、マリアさまと天使の飾り。
コロンバ・レッディさんはさまざまな国のテキスタイルを使って制作した1点ものの服を中心に展示、クリスティーネ・ビルクレさんはフェルトの動物からシルクやオーガンジーをフェルトで繋げたドレスを。和井内さんは、サリーの生地で作ったバッグからオブジェとして飾るランタンバッグ、そして、丹後縮緬や西陣織を縫い合わせた巨大な椅子、"天の迎えを待つ椅子"まで!
ここも和井内さんの展示スペース。中央にミシンが。
左が和井内京子さん、右がクリスティーネ・ビルクレさん。
3人の女性たちの作品の共通点は、「どれも手で作る」ということ。「以前はひとつの組織の中でデザインワークを担うだけだったけれど、いまはメーカーでもあり、デザイナーでもあります。これは面白いことだけれど、同時に苦しいところ。いつも、どうやって生きていこうかと迷い悩み続けています」と、和井内さんとクリスティーネさんは口を揃えた。それでも、ミシンがあれば――。力強いその言葉は、日々の中で、手仕事からものを生み出す喜び、そしてそれが限りない可能性を秘めていることへの心の高鳴りを表しているようだった。
INTERVALLO幕間展
アート/ファッション/デザインのまくあいで。
●開催日時:~8月2日まで 11時30分~19時
●料金:一般600円、学生400円
●会場:BankART Studio NYK3F
神奈川県横浜市中区海岸通3-9
www.makuai.info/
●7月18日には和井内京子トークイベントを、7月25日には丸山正巻きつけパフォーマンスを予定。詳細は、上記ウエブにて案内。
