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シルヴィ・ギエムが記者会見で語った、
〈HOPE JAPAN TOUR〉への思い。

先日、ニュース欄でもご紹介した、シルヴィ・ギエムによる日本公演〈HOPE JAPAN TOUR〉。チャリティ・ガラと東京公演を大盛況のうちに終えた後、ギエム率いるカンパニーは岩手を皮切りに全国公演へ出発。このツアーに込められた思いを伝えるため、記者会見が行われた。


111101news_01.jpg記者会見に臨むシルヴィ・ギエム。〈HOPE JAPAN TOUR〉ヴィジュアルは、高田賢三さんによるもの。

かなり前から準備を進めていた2011年日本ツアーに、3/11を受けて、まずチャリティ・ガラ公演を開催することを提案したというギエム。

「また、被災された東北での公演を行い、なるべくチケット料金も抑えて少しでも多くの被災された方たちに見ていただけるようにしたいとの希望も伝えました。私は長年来日公演を行ってきて、いつも主催者や観客の皆さんに温かく迎えていただくので、今回は恩返しの気持ち――皆さんを励まし、サポートしたいという思いで臨んでいます」

3/11後、早い時期から支援のための行動を起こしたギエム。「震災のことはロンドンで、Bプロで上演されるフォーサイス作品のリハーサルをしていたときに知りました。ニュースを見るたびに、どんどん事態がひどくなっていくのを知ってショックを受け、遠くにいて何もできない無力感を強く感じました。日本には知り合いもたくさんいるし、お客様ともいい関係を築いているので、何ができるか考え、チャリティ・ガラ〈HOPE JAPAN〉をパリとロンドン、そして今回日本で開催することにしたのです」


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111101news_03.jpg封印していた『ボレロ』をチャリティ・ガラで披露。ツアーでも、日本各地で『ボレロ』を踊る。 photos : Kiyonori Hasegawa

会見前日にはチャリティ・ガラで、3.11以降にプログラムに入れたという『ボレロ』を披露。「こんなにも多くの人たちが、被災された方々への精神的な支援をしたいという思いで集まったことがうれしかった。海外から来日したアーティストたちも、日本のアーティストたちも、思いをひとつにして舞台に臨みました」と語る。

封印してきた『ボレロ』を踊るのも、日本にも彼女の『ボレロ』のファンが多いことをふまえてのこと。「私自身も大好きな作品。こういう機会だからこそ、ポジティブな気持ちになれて、励まし勇気を与えてくれる『ボレロ』を踊り、精神的にも皆さんをサポートできたらと思いました。それに、振付家のベジャールが生きていれば、きっと日本に来てアクションを起こしていたはず。だから今回は、日本を愛していたベジャールとともにツアーができたらと思っています」

チャリティ・ガラを観た記者から、これまで以上に気持ちが表現されていたように思うとの質問を受け、「確かにそうかも知れない。『ボレロ』は作品自体が力強さを内包していますが、ダンサーがどんな気持ちで踊るか、観客がどのような気持ちで受け止めるかによって、違いが出るのだと思います」


111101news_04.JPGチャリティ・ガラより。ギエムと東京バレエ団による『ボレロ』が劇場中の観客を魅了した。 photo : Kiyonori Hasegawa

ギエムたっての希望で岩手・福島公演を実現させたことについては、「物質的な支援だけではなく、精神面での支援をしたかった。深い悲しみにある方たちと、少しでも温かさ、友情の気持ちをわかちあいたい、いま苦しんでいる皆様のために、一緒に時を過ごすことが、少しでも励みになればと思っています」

脱原発派としても知られるギエムが熱く語る場面も。この問題を考えるようになったきっかけのひとつが、以前、日本ツアーで長崎へ行き、原爆の祈念館を訪れたことだったという。「とてもショックだったのは、世界地図の電子パネルが展示されていて、世界のどこでどのくらい原爆実験が行われているかを示すカウンターがすごい速度で更新されていたこと。本当に信じられなかった。私たちは便利な世の中に慣れて忘れがちだけれど、便利さには代償がある。無駄を減らしながら、豊かな生活をすることはできると思う。将来のために、いまこそ動かなければいけないと思います」

以前、『フィガロジャポン』本誌でのインタビューで、これだけ世界でいろんなことが起きている時に、果たして自分のやっていることは必要なのだろうか、と思うことがあると、はっとするような言葉を語ったギエム。しかしながら、芸術は必要だと思うか、との質問に、はっきりとこう答える。

「芸術はとても大切なもの。太古の昔から、人々は歌い踊って表現してきました。平穏な時代でも、悲劇が訪れた後であっても、芸術の存在は大きいと思います。何かを変えるきっかけになったり、人々をひとつにまとめる力があると思う。アーティストがどんな思いで公演に臨むか、人がどう受け止めるかで、意味合いは違ってきますが、表現する側と受け止める側の両方に必然がある。私は、アートは人生を変えることができるものだと思っています」


111101news_05.JPGチャリティ・ガラには、ギエムの呼びかけにより、元英国ロイヤル・バレエ団芸術監督のアンソニー・ダウエルやウィーン国立バレエ団芸術監督マニュエル・ルグリ、ミラノ・スカラ座バレエ団のマッシモ・ムッル、ドイツを拠点に活躍するメゾ・ソプラノの藤村実穂子、日本舞踊花柳流の四世宗家家元・花柳壽輔、和太鼓の林英哲、横笛の藤舎名生ら、そうそうたるメンバーが集結した。 photo : Kiyonori Hasegawa

会見では、11月に公演が予定されている、ロベール・ルパージュ、ラッセル・マリファントと共演する舞台『エオンナガタ』にまつわる興味深い話も。こちらについては、追ってこちらでご紹介するので乞うご期待。

最後に、〈HOPE JAPAN TOUR〉への思いをこう語る。

「この公演は、ひとりの人間としての義務だと思っています。応援したい、サポートしたいという気持ちでいっぱいです。深い悲しみの中にいる方がたくさんいらっしゃると思いますが、皆さんがひとりではないということを伝えたいし、20年来、何度も訪れてきた日本が大きな問題に直面しているいまこそ、手を携え、一緒にいたいと思います」

その言葉どおり、ダンスがこんなにも人の気持ちをひとつにすることができるのだと、チャリティ・ガラで自ら証明してみせたギエムの〈HOPE JAPAN TOUR〉が、いよいよ全国ツアー公演に出発する。


シルヴィ・ギエム・オン・ステージ2011〈HOPE JAPAN TOUR〉

【全国公演】
10月31日(月) 岩手県民会館(盛岡特別公演)Tel.019-624-1173
11月1日(火) いわきアリオス中劇場(いわき特別公演)Tel.0246-22-5800
11月3日(木・祝) 愛知県芸術劇場(名古屋)Tel.052-241-8118
11月5日(土) 兵庫県立芸術文化センター(西宮)Tel.0798-68-0255
11月7日(月) オーバードホール(富山)Tel.076-432-5555
11月9日(水) 倉敷市民会館 Tel.086-225-7300
11月11日(金) 広島市文化交流会館 Tel.082-253-1010
11月13日(日) 福岡サンパレス Tel.092-852-6606
*出演者、演目、料金等詳細は各主催者にお問い合わせください。


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