2010.09.01
シャネル・ネクサス・ホールで写真展が開催中の、
マルティーヌ・フランク氏にインタビュー。
銀座のシャネル・ネクサス・ホールで、マルティーヌ・フランク写真展「In Celebration of Women 麗しき女性たち」が開催され、話題を呼んでいる。
ルーブル美術館、目の不自由な人のためのギャラリー、パリ、フランス、2007年 C) Martine Franck / Magnum Photos
施設の老婆からオペラ座の若いダンサーたち、京都の芸者に有名女優......、ネクサス・ホールに集まった写真は計58点。アーティストも不法移民もみな真摯に生きようとする女性たちの姿が写し出され、一枚一枚を前に、それぞれの人生に思いを馳せてしまうのだ。
アンリ・カルティエ=ブレッソン夫人としても知られる、マルティーヌ・フランク氏は1938年生まれ。インタビューに現れた彼女は、年齢を疑うほどの若々しさだった。
マルティーヌ・フランク氏はベルギー、アントワープ生まれ。今回の展覧会で発表された作品が収められた写真集「WOMEN /FEMMES」(Steidl社刊)はAmazonなどで購入できる。
――カメラマンへの出発点は60年代に初めて日本を訪れられたときだったそうですね。当時、買われたカメラと何を撮られたのか覚えてらっしゃいますか?
M・F(マルティーヌ・フランク、以下M・F):カメラのことはよく、覚えてないけど・・・。人や劇場、風景、いろいろ撮ったけど酷い写真でした。恥ずかしがりやで、ちゃんと人に近づくことさえできなかったの。
――今回の来日ではどこに行かれましたか?
M・F:日本の建築に興味があるので、木曾の中山道の宿場町に行ってきました。いくつかの民宿に泊まりましたが、東京とはまったく違いますね。外国人旅行者の姿もなかった。山歩きをしたり、温泉に入ったりして、とても楽しかったです。
――木曾のことはどなたかに教えられて?
M・F:いいえ、自分で調べて、行ってみたいと思ったのですよ。一方で、新しい建築にも興味があるので、根津美術館へも行きました。素晴しかったです。日本は現代と伝統を融合させるのが上手で、細部にいたるまでクオリティが高い。感動しました。
――今回の展覧会の写真はどれも素晴しかったのですが、なかでも、1974年パリのストリップ劇場で撮影された一枚が印象に残りました。全裸のヌードダンサーが足を投げ出して、雑誌に読みふけっている。こんな瞬間にどうやったら、立ち会えるのでしょう?それも恥ずかしがりやだったあなたが?
M・F:恥ずかしがりやは克服しましたよ。被写体は必ず、わたしが選びます。話して話して、たくさんコミュニケーションをとります。わたしの話に被写体が耳を傾けてくれるその瞬間に、シャッターを押すことが多いです。被写体がもっともリラックスする瞬間ですから。ヌードダンサーの女性を撮ったときは、長い時間、わたしはバックステージにいました。出番を待つダンサーが突然、普通の女性になった瞬間でした。あの写真を見た男性から、ステージの上の彼女はもっときれいだと言われましたけど。
――老婆が指で作った輪っかを目に当て、おどけている1枚も好きでした。
M・F:あれは初期の頃の作品です。あのお婆さんはアルツハイマー病で、高齢者施設内で写真を撮ったりジョークを言ったりするわたしのことを面白がっていたんですね。
イヴリー・シュル・セーヌの高齢者施設、フランス、1975年 C) Martine Franck / Magnum Photos
――最後に、ブレッソンとのことをお伺いしたいのですが。ブレッソンとは写真について話し合われることはあったのでしょうか?
M・F:写真を見せ合ったりすることはありましたが、協力し合うことはいっさいありませんでした。彼は絵画や建築が好きでしたから、一緒に展覧会などへよく行きました。彼は写真の話をしたがりませんでした。写真を見ればそれが自分のすべてであると――。それが、真実かもしれませんね。
フランス人女優エマニュエルベアール、パリ、フランス、1989年
C) Martine Franck / Magnum Photos
開催期間:~9月14日(火)12時~20時 入場無料・無休
開催場所:シャネル・ネクサス・ホール
中央区銀座3-5-3 シャネル銀座ビル4階
問い合わせ先:シャネル・ネクサス・ホール事務局 tel 03-3779-4001
www.chanel-ginza.com
