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2012.01.25

カリーヌ・ロワトフェルドの
フレンチ・ヴォーグ以降。

icon_paris.jpg 大村真理子の今週のPARIS

『ヴォーグ・パリ』編集長の職を去った後、何をするのか。このポスト以上の仕事があるのか。モード界を騒がせたカリーヌ・ロワトフェルドのいささか衝撃的な退職から、約1年が経過した。昨秋オリヴィエ・ザームとともに編集した彼女の『Irreverent』(リッツォーリ社刊)は、発売と同時に売り切れる書店が続出という好調な滑り出しだった。本のプロモーションをかね、春には来日するかもしれないカリーヌ。昨年末、バルセロナの空港でマドリッド行きの便を待つわずかな合間に、近況を語ってもらった。

120125paris_01.jpgカール・ラガーフェルドによる近影。本の中でもふたりの親しい関係を伺い知ることができる。 photo : Karl Lagerfeld


――『ヴォーグ』以降、どんな暮らしですか。

「辞めてから、本当に忙しい毎日よ。 NYのバーニーズの仕事をしたと思ったら、『W』でクチュールページのモデルになったり 。シャネル、ジバンシィの広告の仕事もあるし・・・。こうした今の日々にはとても満足しているわ。新しいことがたくさんあって、実にエキサイティング。そしてポジティブ。にこやかな顔ができるわ。 疲れるのは確かだけど、家でじっと仕事を待っているより、ずっといいじゃない。今はとっても自由があるのよ。自分で自分の仕事のプランを練って、スケジューリングも自分でしてというように、『ヴォーグ』時代とはまったく別の暮らしね」

120125paris_02.JPG黒い1冊がハードケースに納められている。カリーヌのファンにとっては永久保存版だ。

――『Irreverant』には満足していますか。

「もっと早くに出版する予定だったけど、『ヴォーグ』時代はなかなか私が本に取り組める時間がなくて、遅れに遅れて・・・。辞めてからの出版となってしまったの。約30年の私の仕事のキャリアが詰まっている1冊。ごく初期の『エル』誌の仕事も入れてあるし、家族の写真も豊富なのよ。時代の変化をみることもできるわ。これを出したことで、仕事にひと区切り、という感があるわ。

タイトルにした"イレヴェラン"(不敬な、非礼な、の意)という言葉、私、好きなの。ポエティックでフェミニン、そしてエレガント。でも少々ロックンロール。私のスタイリングに通じる? そうね、いえるかもしれない。本の反響はとてもいいので、春にはプロモーションで東京に行くと思うわ」


120125paris_03.jpgモデル時代の写真、家族の写真などプライベートも公開。


――『Carine』という新雑誌を出すそうですね。

「いいえ、雑誌はまだ名前がきまっていないわ。年に4回のインターナショナルな季刊誌で、第1号の発売は9月よ。これまでに存在しなかったタイプの雑誌にするつもり。新しいニュースのようなことは今の時代はインターネットがあるので、私は保存しておきたいと思わせる雑誌にするわ。もともとファッションが好きだったけど、『ヴォーグ』の仕事を通じて、より好きになったの。プレタ、クチュール・・・それにジュエリーもビューティも見せてゆくわ。

『ヴォーグ』時代にその権利を持っていながら有効に使わなかったことを後悔しているのは、若いデザイナーの支援をすること。それをこの雑誌では考えているの。フランスですぐに思い浮かぶ若手デザイナー? アントニー・ヴァカレロかしら。もはや彼は有名よね。もっともっと新しい人。次のファッション・ウィークで発掘することになるでしょうね。そうした若いデザイナーの保護者的役割を果たそうって、思っている。次のシーズンのショーはニューヨーク、ミラノ、パリで見るわ。

雑誌のフォーマット? 特殊なものにするつもりはないわ。他の雑誌との違いは、中身で見せることだから。私、『ヴォーグ』の編集長になる前、考えるのは写真のことばかりだったのよ。でも、『ヴォーグ』では文字ページの大切さ、その果たす役割を知ったの。学んだことをこの雑誌で、生かしてゆくわ。

私、何かにつけて10年を区切りに、と、よく言っているのだけど、『ヴォーグ』もしかりね。でも、10年はあっという間に過ぎてしまって。あれもしたい、これもしたい、という欲もあって、辞めるのによいタイミングを逃してしまったの。本当のところ雑誌の90周年を記念したときに去るべきだったと思ったわ。『ヴォーグ』でファミリーを築いたように、新しい雑誌でもまた別のファミリーを築くつもりよ。ドリームチームをつくるわ。若手のカメラマンを起用することも考えているわ。メークアップアーティストだって、そう。今やシャネルのAD となったピーター・フィリップスとはまだ彼が新人のころに一緒に仕事をしているの。モデルのララだって、彼女のデビュー当時から仕事をしているし・・・。この雑誌では毎回、読者を驚かせてゆきたいの。楽しい雑誌になるはずよ」

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